DAY.8 時代に求められる!統合系WEBクリエイターとは?
統合型WEBクリエイターについてお話する前に、最近のデザイン界隈での話をお伝えさせてください。すごく大切なことなので、みなさんにご理解頂ければと思います。
2018年、経済産業省が提唱した次世代を担う人材として「高度デザイン人材」というものがあります。高度デザイン人材とは「あるべき未来を構想し、事業課題を創造的に解決できる人材」と言われています。つまり、事業や社会に新しい価値を生み出せる存在、ということです。今、世界中で最も求められている人材と言っても過言ではありあません。
ではなぜ、事業課題を解決する人材が「デザイン」とされているのでしょう。起業家や経営コンサルタントのような職種が担いそうなポジションにも関わらず、です。
デザイン思考の誕生
発端はアメリカ、スタンフォード大学を中心に「デザイン思考」という思考フレームワークが、一般化していったことでした。デザイン思考をシンプルに言うと「未知の問題を発見、解決し、新しい価値を生み出す」思考法です。これは、あらゆる起業家や問題解決を生業とする人々が学び、世界中で一般的なビジネススキルとなりつつあります。
では、どうして問題発見と解決の思考法に「デザイン」とついているのか。それは、もともとデザイン思考がデザイナーの考え方をもとに作られたものだからです。デザイナーは「綿密に計画や設計」をすることなく「ひとまず作って見せて改善する」という流れで仕事をする人が多いとされています。この思考法を事業づくりのパターンに落とし込んだものこそ、デザイン思考なのです。
UXデザイナーの誕生
さらにデザイナーはユーザーが使う道具そのものの形をデザインします。UI(ユーザーインターフェース)とも呼ばれます。UIをひとまず作って見せて、改善を続けるわけですが、幾度となく試行錯誤して改善を繰り返していると、これまでになかった「体験価値」を生み出す製品やサービスが生まれたりします。こうしたユーザーの体験をUX(ユーザーエクスペリエンス)と呼びます。
デザイン思考を使って商品やサービスを改善するうちに、アイディアが深まり、これまでなかった体験や価値を生み出す現象がおこるのです。その体験は、未知の製品やサービスそのものとなります。今ではその体験を作り出す(デザインする)人をUXデザイナーと呼ぶようになりました。
デザイナーの役割が拡大
デザイン思考やUXデザインといったスキルや業種が増えるにつれ、デザイナーに求められる役割がどんどん増えていきました。デザイナーの仕事の仕方を発端に、新しい価値や事業を生み出すには、デザイナー的アプローチを軸とした方が成果が生まれると認識されたのです。
結果、デザイナーには、ビジネスやテクノロジーへの理解が求められるようになりました。デザインを突き詰めていくと同時に、ユーザーの反応を分析し、試行錯誤して改善し、新しい価値を生み出す。一連の仕事が求められるようになったのです。
ユーザーと触れ合い、意見を聞き、議論し、新しい形を考えることに最も最適な人材。もっともユーザーと一緒に新しい価値を共創しやすい人材。それこそ、デザイナーに他なりません。起業家でもエンジニアでもなく、新しい価値を生み出しやすいのは、デザイナーだったのです。
こうした文脈の中で高度デザイン人材が生まれた
冒頭の「高度デザイン人材」の話に戻りましょう。ここまで読まれた方は、なぜ「高度デザイン人材」が重要なのか、ご理解頂けたのではないでしょうか。試して改善し、新しい価値を生み出すといった中で、最も適した人材こそデザイナーであるという文脈の中で、作るだけではなく、問題を解決し価値を生み出す人材として「高度デザイン人材」という概念が誕生しました。
さらに近年ではChatGPTを中心としたAIの台頭により、アート思考とよばれる思考法も注目されています。デザイン思考はあくまでも「ユーザーと試行錯誤する」ことで答えを得ますが、アート思考は自分の中だけで完結し、哲学のレベルまで思考やアイディアを深掘りする考え方とも言えます。
スティーブ・ジョブズもどちらかと言えば、アート思考を最大化していたように思えます。デザイン思考にアート思考を加えることで、よりアイディアは有機的なものとなるでしょう。
統合系クリエイターとは
さて、今回のテーマに戻りましょう。こうして事業づくりやテクノロジーへの理解を備えたデザイナーが求められていますが、デザインだけではなく、使える形としてサービスを作り、世の中へリリースするまでを即座にできる人材がいたらどうでしょうか。
新しい事業をつくりたい。新しいWEBサイトを立ち上げたい。でも、どうせ挑戦するなら、売れる形に最も近い状態に仕上げていきたい。そんな時「低コストで、即座に仮説を立て、企画し、デザインを作り、ユーザーと意見交換をしながら高速で改善し、売れる形に仕上げていく」まで、一気通貫でできるクリエイターがいたらどうでしょう。
これほど、力になる存在は他にいません。言ってみれば「アイディア出しから売れるまで、オートマチックに改善を繰り返しながら成果を上げていくクリエイター」なのです。これほど、事業にとって助けになる存在は、他にいません。統合系WEBクリエイターとは、自動でWEBにまつわる事業を最適な形へとブラッシュアップしてくれる人材です。
超高速で進化し続ける社会の中で、もっとも求められるクリエイター
そして今、WEBクリエイターには、事業と伴走し、支援できるような力が求められはじめています。多くの方がご存じかもしれませんが、今の社会は超高速に進化しています。特にChatGPTをはじめとしたAIが普及して以来、毎日のように新しい発明がリリースされています。2023年の3月だけで1000以上の優れたAI関連製品が発表されたそうです。
このような世界では、次々新しいことに挑戦し、価値を生み出していかなければ、いつの間にか淘汰されてしまっていてもおかしくはありません。サービス開発に対して1年も2年も、時間をかけている場合ではないのです。だからこそ、事業やビジネスに詳しく、オンラインでのデザインおよび開発能力のある、しかもフットワークの軽いWEBクリエイターが求められているのです。
私たちは、こうした現状および未来の進歩を踏まえて、事業に理解があり、そしてデザインから開発まで横断的に価値を生み出せるWEBクリエイターを「統合型WEBクリエイター」と定義しています。
クオンカレッジでは、統合型WEBクリエイターを育成していくための、カリキュラムに対応済みです。
WEBデザイナーやエンジニアを目指す方、もしくはすでに技術は習得したけれど、スキルアップしたい方は、ぜひ事業デザインやUXデザイン、デザイン思考等を学び、統合型WEBクリエイターとしてのキャリアを目指す道も考えてみてください。